【退院前カンファレンス】って何?どうやって進めるの?

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退院前カンファレンス 医療・福祉

退院前カンファレンスは、特に自宅への退院時に、最終的な支援の方向性確認や在宅サービスの調整・検討のために行われています

そのため、入院時~退院後にかかわるなるべく多くのメンバーが参加できるように調整を行っていきます

では、退院前カンファレンスとはどのようなことをする、どんな場なのか?

一般的な例をもとにご紹介していきたいと思います

退院前カンファレンスの準備

対象者の選定

退院前カンファレンスは、患者・家族、院内スタッフ、在宅サービススタッフが集まって、自宅療養に向けた各種の相談・検討を行っていく場です

とはいえ、すべての患者に行うものではありません

最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、病院内に多くの関係者を呼ぶことができない場合も多くありますし、

入院前と大きく身体状況が変わらない場合などは、病院とは電話や各種サマリー等で情報を共有し、退院後に自宅で在宅サービススタッフのみが集まり、サービス担当者会議を行った方がスムーズにケアプランが作成でき、支援に移行できるという場合もあります

退院前カンファレンスを行っていく必要性が高い患者にはこんな例があります

  • 医療機器の使用が必要(人工呼吸器、喀痰吸引、在宅酸素、経管栄養など)
  • 病状のコントロールが必要(心疾患、糖尿病など)
  • 緩和ケア、見取りの援助が必要
  • 独居や、家族の介護力が弱く、介護サービスを十分に整える必要がある
  • 金銭的な心配がある
  • はじめて介護サービスを利用し、複数の在宅サービスの調整・検討が必要

…etc.

患者・家族や、ケアマネージャー、院内スタッフと退院前カンファレンスの必要性について相談・検討し、必要時には開催に向けて調整していくことになります

退院前カンファレンスでの検討内容の確認

カンファレンス時間は有限です

限られた時間の中で、調整・検討が必要な内容をすべて話し終える必要があります

入院している間に患者・家族の希望や思いは揺れ動いていきます

カンファレンス直前に改めて患者・家族の希望や不安な点などを確認していきます

また、患者・家族は問題と感じていない場合でも、院内スタッフから見て課題となると考えられる部分などについても話し合い、確認しておく必要があります

こういった情報収集や、確認等をしたうえで、退院に向けた課題を整理し、話し合うべきポイントを明確化しておくことが大切です

退院前カンファレンスですべての課題や懸念点を解決することは難しいです

自宅に帰ってみてから出てくる問題、課題もあるでしょう

課題の内容によっては、課題解決や必要な相談・調整を、在宅スタッフに引き継いでいくこともあります

入院中に解決する課題、退院後にも引き続き支援や課題解決が必要な課題など、細かい部分についても退院前カンファレンスで情報共有し、相談・検討していくことが大切です

入退院支援加算の兼ね合いなどもあり、現在は退院前カンファレンスで「退院時共同指導説明書」などを使用する病院もあります

この「退院時共同指導説明書」は事前に院内スタッフが、身体状況や各種課題について項目に記載しておきます

そのある程度項目が記載されたものをカンファレンス当日に配布し、カンファレンス時に決まった内容などを追記しながら完成させていきます

そして記載された内容について最後に患者・ご家族に説明し、署名をしてもらうことで完成します

また、欄外にはカンファレンスに参加した院内・院外スタッフの署名欄もあります

こういった書式を使用することでも、より話し合いの内容の明確化情報共有にも役立つため、カンファレンス時にはそういった書面等の用意も検討できるとよいのではないかと思います

日程調整

退院前カンファレンス開催に向けて、参加が必要なメンバーをリストアップし、そのメンバーが全員揃う日程の調整をしていくことになります

退院調整看護師やMSWが担当についている場合は、退院調整看護師やMSWが日程調整をしてくれます

カンファレンスでの検討内容により必要なメンバーは変わってきます

必ず参加してもらうメンバーとして、院外では【患者】【家族等のキーパーソン】【ケアマネージャー】は必須です

院内では、各病院の規定によって変わると思いますが【看護師】【担当セラピスト】【退院調整看護師 or MSW】は最低限必要になるかと思われます

このほか、

訪問診療医が参加する場合は、院内の主治医も参加

かかりつけ薬局の薬剤師が参加する場合は、院内の薬剤師も参加

など、同じ職種同士がカンファレンスに参加し、同じ職種同士で話し合えるように調整していくことで、よりスムーズな在宅への移行が可能になります

退院前カンファレンスの流れ

カンファレンスは基本的には30分程度で終えられるように進めていきます

出席者の紹介

司会進行役を1名決めておきます(退院調整看護師やMSWが担うことが多いです)

司会進行役から、出席者とカンファレンスの目的・大まかな流れ等を説明していきます

入院時の病状等について説明

主治医または看護師から、入院のきっかけとなった病状やその後の経過、今後の見通しやリスクなどについて説明していきます

主治医や病棟看護師が出席できない場合、退院調整看護師やMSW、セラピストから説明することもあります

その場合、事前に細かい部分まで医師や看護師と情報共有し申し送りをもらっておく必要があります

入院中の身体機能、ADL等について説明

病棟看護師やセラピストから、入院時~現在の身体状況、ADLについて説明していきます

また、そこから考えられる今後の課題や支援が必要な点について説明し、利用した方がよいと考えられる在宅サービスの提案をしていきます

患者・家族への指導の進捗状況、実施予定などについて説明

退院に向けて患者・家族へ、実技指導が必要なものについて明確化していきます

その中で、すでに患者・家族が手技獲得できているものと、現在練習中のもの今後指導が必要なものについて伝えていきます

また内容によっては、退院後も患者・家族に実技指導などが必要になる場合があります

その場合、指導内容について在宅サービスのメンバーへ必要な引継ぎも行っていきます

患者・家族の疾患や身体状況への受け止め方や今後の意向の共有

院内スタッフからの各種情報提供をふまえつつ

患者・家族からの思いや希望の表出をしていただきます

この患者・家族からの発言のタイミングは、カンファレンスの流れや目的などに合わせて、司会者の方で調整していきます

患者・家族がうまく表出できない場合は、司会者等が代弁者となり、事前に聞き取っていた内容をお伝えしていきます

在宅療養における課題の明確化、目標確認、サービス調整

ここまでで情報共有した内容をもとに、自宅生活における課題や目標の確認と、それに合わせたサービス内容について全員で相談・調整していきます

また、事前にケアマネージャーに介護サービスについて調整してもらっていた場合、このタイミングで概略や方針等について説明してもらいます

合わせて、在宅医療スタッフからの疑問点や要望等についても確認し、追加での説明や、カンファレンス後に改めて確認・調整が必要な点などを挙げていきます

まとめ

カンファレンスで話し合った内容、今後各担当者が確認・調整していく点、その他要望や疑問等がないかを確認し、話し合いを終了します

退院カンファレンス後

カンファレンス後に各担当者が確認・調整した点については、都度電話などで情報共有していきます

また、カンファレンス後に身体状況や患者・家族の希望など、何か変化した部分があれば都度共有し、微修正をしていきます

院内・院外それぞれで、そういった情報共有の窓口を設定し共有しておくことで、よりスムーズに情報共有や必要な確認を行っていけるようにしていきます

最後に

こういったカンファレンスの場の設定や運営は、退院調整看護師やMSWが担っていくことが多いでしょう

(退院調整看護師とMSWの違いはこちら)

とはいえ、病棟スタッフはより患者・家族と関わる時間が長い分、より詳しい患者・家族の現状や思いを把握している場合が多く、カンファレンス時により重要な役割を担うことが多いです

よりスムーズに、必要な情報共有や確認をして、安心・安全な在宅療養ができるよう支援するためにも、カンファレンスについてしっかりと意義や流れを把握し、参加できるとよいですね

そして、カンファレンスは退院支援・退院調整のうちの1つとして行われます

退院支援と退院調整って何が違うの?という方はこちらの記事も参考にしてもらい、カンファレンスに臨めるとよいかと思います

この記事の内容が少しでもその参考になれば嬉しいです

ではまた!

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