【退院支援】と【退院調整】は何が違うの?

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医療・福祉

退院について話をするときに「退院支援」や「退院調整」という言葉をよく使います

「退院支援」・「退院調整」とは、退院後に患者さん・ご家族が安心してその人らしく生活ができるようにしていくための取り組みのことを指します

この2つの言葉は同じような意味で使用されることが多いですが、実は「退院支援」と「退院調整」では意味合いが異なることを知ってましたか?

言葉の意味の違いなんて考えたことなかったよ

何が違うの??

という方も多いと思うので、この記事で「退院支援」と「退院調整」の違いなどについて解説していきたいと思います

看護師をはじめ、病院の医療・福祉職は、この意味合いの違いをしっかりと理解して、退院に向けた取り組みをしていきましょう!

退院支援と退院調整とは?

「退院支援」と「退院調整」の違いは?

「退院支援」と「退院調整」は下記のような違いがあります

退院支援:「患者さんの退院後の自立した生活に向けて直接支援すること」

退院調整:「社会資源や各種制度、施設と患者さん・ご家族を繋げ、間接的に患者の自立を支援すること」

では、それぞれどういうことなのか?

具体的な説明をここからしていきたいと思います

退院支援とは

「退院支援」とは、患者さんとご家族が、退院後にどのような医療・福祉のサービスを利用しながら、どのような生活を送っていくことができるのか、その選択肢について知り、自分たちで考え・選ぶことができるように関わることを指します

最終的な療養先は、患者さんとご家族が決めていくことになります

看護師やMSWなど病院スタッフは、患者さん・ご家族の質問に答えたり、選択するうえで必要な知識の提供をしたり、退院先の選択肢は提示できますが、最終決定権はありません

患者さん・ご家族が、現在の患者さんの置かれている状況をきちんと理解し、今後の生活でどんな課題があるか把握したうえで、より自分たちの希望に近い形での退院先の調整ができるように支援していく必要があります

そして、たとえば自宅を希望した場合、どんな社会資源を利用できるのか、また患者さん・ご家族がやる必要のある介護・看護ケア等についてもきちんと理解できるようにしてくことが大切です

こういった退院に関する自己決定を支え、退院日時や在宅サービスなどについて具体的に調整を行い、安心して退院後の生活を送れるようにする全ての流れが「退院支援」なのです

現在、国が病院の入退院支援に力を入れており、入院前or入院当日から退院を見据えたかかわりをしている病院も多くあります

自宅に帰る場合、こういった退院支援の中心となるのは「退院調整看護師」となるでしょう

病棟看護師は、退院支援看護師やMSWと連携し退院支援をしていく必要があるのです

退院調整とは

一方で退院調整は、マネジメント業務の側面が強くなります

退院調整とは、患者さんとご家族の選択を尊重し実行するために、退院先の環境調整や社会資源の利用など具体的な調整を行い、地域と病院をつなぐ調整を行っていくことを指します

例えば、医療処置が必要な患者さんについて、自宅に帰ってからも必要な医療を受けながら療養ができるように、訪問診療や訪問看護、療養通所介護、ヘルパー等の医療・福祉の様々なサービスの提案や、費用面での相談・調整等を、患者さん・ご家族・ケアマネ等の在宅サービススタッフとともに行っていきます

退院調整を行うことで、患者さんと家族がより良い選択をして、退院した後も患者さんが自分らしく生活ができるようにサポートをしていきましょう

退院支援は誰がやる?

退院支援の中心的な存在となるのは、退院調整部門にいるMSWや退院調整看護師です

MSWと退院調整看護師の違いについてはこちらの記事をご覧ください

とはいえ、MSWと退院調整看護師だけでは退院支援は行えません

患者さん・ご家族とより長い時間接しているのは、看護師です

同じ看護師でも、「退院調整看護師」と「病棟看護師」では役割は違います

その役割の違いはこちらの記事をご覧ください

また、退院に向けた治療の中心である医師、身体機能面の機能強化などをしているのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのセラピスト、食事面は栄養士、薬については薬剤師、などなど病院にいて患者さん・ご家族と関わるすべての職種が退院支援を行っていくことが大切です

退院支援と退院調整の流れ

まず入院した時に、患者さんの退院を難しくする要因について考えていきます

「介護保険を申請していない」「一人暮らし」「家族の介護が必要だが、家族の介護力が弱い」「退院後も医療処置が必要」などなど、いろいろな要因があるでしょう

入院したらまずは多職種でカンファレンスを行い、退院を難しくする要因をピックアップしていきます

入院中には様々な治療やリハビリを行っていきます

その治療やリハビリの中で、最初の多職種カンファレンスで上がった退院を難しくする要因がなるべく減っていくように支援していきます

とはいえ、どうしても残ってしまう退院を難しくする要因が出てくるでしょう

よくあるのが「歩けるけども歩行器や手すりが必要」「ADLはおおむね自立しているが認知機能が低下しており、ADL全般に見守りが必要」などです

ある程度、治療やリハビリが落ち着いてきて、今後どの程度の身体状況になるのか・どんな医療・介護ケアが必要になりそうかの目途が立ってきたところで、退院に向けた各種相談・調整を始めていきます

まず、患者さん・ご家族はもちろん、ケアマネージャーなど在宅サービススタッフを呼んでカンファレンスを行います

この時、病院からは主治医、病棟看護師、セラピスト、栄養士、退院調整看護師・MSWなどがカンファレンスに参加します

そして、治療やリハビリ状況の報告をして現状把握をしていただき、それをもとに今後患者さん・ご家族がどの療養先で、どのように生活をしていきたいのかを相談していきます

上記のカンファレンスを通して自宅退院が決まり、患者さん・ご家族が退院後にどのような療養生活を希望するか、またどんな在宅サービスが整えられそうかがまとまってきたら、退院前に改めてカンファレンスを行います

このカンファレンスは「退院前カンファレンス」といい、患者さん・ご家族はもちろん、訪問診療医や訪問看護師、ケアマネージャーなど在宅サービススタッフを呼んでカンファレンスを行います

より具体的なサービス提供時間・内容の調整や、退院時の身体状況・療養生活状況などの情報共有を行っていくことになります

この退院前カンファレンスについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

入院中は治療が中心となりますが、退院後はその人らしい生活をいかに送っていくかが何よりも大切になります

現在、新型コロナウイルス感染症の影響でなかなかカンファレンス等の場を設けることも難しくなっており、患者さん・ご家族の意向に沿った退院支援・退院調整が難しい状況にはなっていますが

患者さん・ご家族の意向をしっかり確認し、希望に沿った退院支援が行えるようにしていくことが大切です

退院支援・退院調整についての参考書

一言に退院支援・退院調整といっても、年齢や性別、病状、家族構成、住んでいる地域など、様々な要因により必要な支援の内容や方法は異なります

とはいえ、「患者さんが自分らしく生活できるように支援していく」という基本姿勢は変わりません

そんな退院支援・退院調整について、より詳しい仕組みや制度について勉強するためにおすすめの参考書が知りたいかたは、こちらの記事を参考にしてみてください

実際にうめが使っている、初心者にもわかりやすい参考書をまとめてみました♪

最後に

いかがでしたか?

「退院支援」と「退院調整」は似た言葉に見えて、微妙な違いがあることはわかっていただけたでしょうか

とはいえ、退院に向けた患者さんの希望に合わせて支援していくという目標は変わりありません

今回記事にまとめた内容を参考に、病院で働く看護師として一緒に、よりよい退院支援・退院調整を行っていってもらえればと思います!

ではまた♪

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