病棟看護師と退院調整看護師の違いは?

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病棟看護師、退院調整看護師 看護師

病院の中に、「医療相談室」「地域連携室」などが設置されている病院は多くあります。

その部署のなかで、医療ソーシャルワーカー(MSW)とともに活躍している「退院調整看護師」

病棟で働く看護師と同じ「看護師」ではあるけれど、

【病棟看護師】と【退院調整看護師】って何が違うの?

退院支援退院調整で看護師は何をすればいいの??

そんな疑問に答えていきたいと思います。

病棟看護師と退院調整看護師の役割分担

病棟看護師の役割

病棟看護師が退院支援・退院調整を行う時に担う役割にはこんなものがあります

・スクリーニング(問題点の明確化)

・スクリーニングをもとにアセスメントを行う

・アセスメントに基づく退院支援計画や看護計画の作成と実施

・患者さん、ご家族への医療処置・看護介護ケアの指導

退院調整看護師の役割

退院調整看護師が退院支援・退院調整を行う時に担う役割にはこんなものがあります

・入院前の患者さん・ご家族に関する情報収集や、意向の確認

・ケアマネージャー、地域包括支援センターなど在宅支援者との情報共有

・社会資源の調整(医療サービス、介護サービス等)

・退院支援計画書の作成

・カンファレンスの開催(家族カンファレンス、退院支援カンファレンスなど)

退院支援・退院調整で看護師が行うことは?

スクリーニング

入院時から始まり、入院生活を通して医療面や生活面など、様々な視点から患者さん、ご家族の情報を集めていきます。(場合によっては入院前から情報収集を進めます)

その中で、

「ご家族の介護力が弱く、自宅療養の継続は難しそう」

「介護保険の介護度申請をしていないが、今後サービス利用が必要そう」

「家の中は車いすが使えないけど、現状車いすレベルのADLから回復が見込めなさそう」

など、退院支援・退院調整が必要となりそうな患者さん、ご家族を早期に把握します。

入院して1か月。

家族と退院日程の相談をしようと思ったら、

「そんなんで家に帰ってこられちゃ困る!」

と言われ、

突然、退院調整の問題が発覚した!

なんてことが起こらないように、看護師がしっかりスクリーニングをしていく必要があります。

患者さん・ご家族との十分なコミュニケーションを図る

看護師は、患者さん・ご家族の思いや葛藤などを受け止め、寄り添い、悩み等の相談に応じられるよう、努めていくことが求められます。

その中で

「いまはできないけど、家に帰ればできるから大丈夫!」

「本当は家に帰りたいけど、○○ができないと家に戻れない」

「家族に迷惑をかけたくないから、○○ができるようにならなければ施設を探してほしい」

「自宅で介護をしながら生活させてあげたいけど、初めてのことで何をすればいいかわからず不安」

など、どこに不安を抱いているのか、どんな希望があるのか、といった患者さん・ご家族の気持ち等を引き出していきます。

その気持ちを尊重しながら、現実的な身体状況・生活状況などを踏まえて、しっかりと話し合い、試行錯誤しながら、解決に向けていく必要があります。

ほんとはこんな退院の形は望んでなかったのに

後悔しかない

こんなの聞いてなかった

など、後から患者さんやご家族に言われることがないように、支援していくことが望ましいです。

そのために、しっかりとコミュニケーションを図っていきましょう。

患者さん・ご家族全体を支援する

治療方針や退院の方向性・希望など、患者さんとご家族、またはご家族内で意見が違うことは多々あります。

そんな家族間の意見や希望の違いを受け止めながら、十分に話し合い、患者さん・ご家族にとってのより良い選択ができるように支援することも必要です。

多職種連携・協働を行う

看護師は、医師の治療方針に沿って、多職種が協働して行うチーム医療や退院支援を行う際の推進役となります。

退院支援・退院調整は看護師1人では行えません。

院内の医師、医療相談室や地域連携室のMSW、セラピスト、薬剤師、栄養士などなど、同じ看護職員だけではなく、院内の他職種ともチームで情報を共有し、同じ目標・認識を持って協働して支援していく必要があります。

また、院外の在宅支援スタッフ(訪問診療、訪問看護、ケアマネ、施設スタッフ、……etc)とも情報を共有し、協働していくことはとても大切です。

病院から在宅まで、医療・福祉職員がチームとしてスムーズに協働し、支援していけるように働きかけていくことが求められます。

社会資源について知り、情報収集し、必要な調整をする

患者さんやご家族に合わせた退院支援・退院調整を行おうにも、医療・福祉サービスや地域の社会資源について知らないと、より適切な提案や支援は行えません。

まずは、「介護保険サービス」「障害福祉サービス」とはどんなものなのか、どんなサービスが利用できるのか等についてしっかり把握することが大切です。

例えば、退院先として、自宅以外に「介護老人保健施設」「介護老人福祉施設」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「介護付き有料老人ホーム」「介護医療院」などなど、いろいろな選択肢がありますが、違いは判りますか?

それぞれの施設の特徴や役割の違いを分かっていないと、本当にその施設に入居や退院調整ができるかの判断ができません。

日中の9時~17時しか看護師がいない施設に、夜間吸引やインスリンがある方の退院調整はできませんよね。

その人に合わない施設が退院先の候補になっている場合は、適切な退院先が検討・選択できるように助言し、支援していく必要があります。

また、

「○○市では「療養型通所介護」が使えるけど、△△市にはないから使えない。」

「☆☆市では地域のボランティアサービスでこんな特徴的なものがある」

など、それぞれの地域で使える社会資源は大きく異なります

その患者さん・ご家族の退院先にどんな社会資源があるのか、どんなものが利用できるのかについても、MSWや、ケアマネ等の在宅サービススタッフと情報共有し、ご家族や患者さんに必要な提案・支援ができるようにしていくことも大切です。

ちなみに、「療養型通所介護って何?」という方は過去記事のこちらをご参照ください。

患者さん、ご家族ができることを増やす

せっかくできる能力があるのに、やらない環境を作ってしまうと、

「できるのにやらない」から、「やりたくてもできない」に変わってしまいます

また、ちょっとした環境や物品を整えてあげることで、「できない」が、「頑張ればできる」「できる」に変わることも多々あります。

そのため、【患者さんの自己管理能力】、【ご家族の介護力】、【患者さん・ご家族のセルフケア能力】などを、入院前の様子や入院生活状況などから情報収集し、把握することがまず大切です。

そのうえで、内的資源(知識、能力、経験、自信、体力など)や、外的資源(使用物品、自宅内の環境など)に働きかけ、助言や支援をすることで、自立支援につなげていきます。

すこしでも、「やればできる」「がんばればできる」ことを、「いつもできる」になるようにしていきたいですね。

また、治療状況や病棟内の状況・マンパワーによっては、今できていることを取り上げてしまうこともあります。なるべくそういう事態にならないよう、多職種で配慮・工夫していくことも求められるのではないかと思います。

参考文献

退院支援・退院調整にはいろいろな文献が出ていますが、うめ個人的におすすめなのは、今回の記事を作る際にも参考にしたこちらの書籍です。

最後に

いかがでしたか?

同じ看護師でも、部署によって役割が違います。

お互いの役割をしっかり把握し、でも患者さん・ご家族のために必要な時は役割を超えて協働・支援し、助け合っていきたいですね。

看看連携、多職種連携、院内・院外での連携をしっかりととりながら、患者さん・ご家族にとってよりよい退院支援・退院調整ができるようにしていきましょう。

まぁ記事や口ではこう言っても、

なかなかうまくいかないのが現実なのですが…。

そこで挫けずに頑張っていこう。

とは常々思っています…。

今後の退院支援・退院調整をするときに、この記事が少しでも参考になればうれしいです。

ではまた!

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