「レスパイト入院」って聞いたことありますか?
家族の介護、特に医療処置が必要な状態で自宅退院すると、ご家族の介護負担は非常に大きくなりやすいです。
なので、私は医療処置が必要な自宅退院希望の患者さん、ご家族さんには必ず利用の提案をしています。
でも、

レスパイト入院ってなに?
初めて聞いた!
なんて方も多いと思うので、この記事を見てすこしでもレスパイト入院について知り、活用してもらえればなと思います!
レスパイト入院って何?
レスパイトとは
レスパイト(Respite)とは、「一時的中断」「休息」「息抜き」という意味の英語です。
レスパイト入院とは
医療保険を利用した、介護家族支援短期入院のことを指します。
地域包括ケア病棟などに、短期間入院をすることになることが多いです。
どんなときに利用するの?
酸素や中心静脈栄養など、常時医療的な管理が必要な方が在宅で療養されている中で
介護者の事情(病気や事故・冠婚葬祭・ 旅行など)
介護者が肉体的・精神的な負担により疲れを感じている
などの場合に利用します。
対象者
・「在宅主治医(かかりつけ医)」から要請があり、自宅や施設等の退院先が決まっている方
・在宅で医療機器を使用し、常時介護の必要であり、介護保険によるショートステイが困難な方

例えば、
・人工呼吸
・喀痰吸引
・在宅酸素
・気管切開
・点滴
・胃瘻や腸瘻等の経腸栄養
・在宅中心静脈栄養
・褥瘡処置
などをしている方は、
ショートステイの利用は難しいことが多いです
※ ただし、精神疾患の方や、認知症で問題行動のある方(不穏、徘徊、暴言・暴力等) 、神経難病の方など、申し込む先の病院で対応が難しいと判断される場合は、対象とならないことがあります
利用方法
入院期間
基本的には14日以内と設定していることが多いです。
入院前に、入院日時とあわせて、退院日時と退院場所、送迎方法を決めます。
次回の利用可能な期日
入院病棟や病院ごとの扱いによって違いますが、
基本的にはレスパイト入院終了日から1-3ヶ月経過後に利用が可能です。
取り扱い
地域包括ケア病棟入院と同じ扱いとされることが多いです。
状態変化時
症状が急変し治療が必要になった場合には、急性期病棟に転棟もしくは専門医のいる病院に転院となることがあります。
また、状態変化時は、入院時に決めた退院日を延期することがあります。
検査等の対応
原則として、継続的に実施が必要 なバイタルチェックや検体検査等を除き、新たな治療や検査、専門科での診察は行いません
入院時に必要な持ち物
使用中の薬や、PEGやストマなど、レスパイト入院中に必要な医療物品は、すべて用意して入院時に持参することになります。
ただし、点滴は持参不要、など病院で決めたルールがある場合もあるので、利用前に確認が必要です。
申し込み
「在宅主治医(かかりつけ医)」
「訪問看護ステーション」
「居宅介護支援事業所」
からの予約申し込みが必要です。
まずは申込みをしたい病院の医療連携室や地域連携相談室などに連絡して、申し込み方を確認しましょう。
申込時には在宅主治医からの診療情報提供書、訪問看護ステーションやケアマネジャーからのサマリーが必要になります。
医療費
「高額医療費」や「自己負担限度額」など、患者さんの年齢・所得や世帯状況等により、各種の負担軽減措置が設けられています。
自分が該当するかは、役所の高齢障害課などに確認してみてください。
実際はどんな方が利用してるの?
私が経験あるのは以下のようなパターンです。
例えば、神経難病がある方で、特に
・人工呼吸器を24時間使用している
・基本的にはベッド上で療養するなどADL全介助レベル
・不穏言動や不潔行動、暴力行為などがみられる
・1-2時間おきに吸引をするなど、頻回な医療処置が必要
といった方が、障害者や神経難病を主に受け入れている病棟では、レスパイト入院をしていました。
コミュニケーションも、文字盤や伝の心を利用するなど少し難しい対応となることが多いので、
同じような病状や介助量の方が重ならないように。でもなるべくご本人やご家族の希望に合わせた入院スパンで利用できるように工夫していました。
地域包括ケア病棟の場合は
・1-2時間おきに吸引をするなど、頻回な医療処置が必要
・中心静脈栄養を使用している
・認知症状が強く、身体拘束が必要(カテーテル類を抜いてしまう可能性が高い)
・主介護者が入院してしまったので、急遽レスパイトやショートステイ先を探す必要がある
・可能な範囲でいいので、レスパイト入院中にリハビリをしてほしい (普段は中心静脈栄養だが、経口摂取の練習をしてほしい、など)
などの方を受け入れていることが多い印象です。
最後に
自宅で介護をする場合に気をつけたいのは、
ご家族のストレスや疲労を溜めすぎないようにすることです。
ご家族が頑張りすぎて、患者さんより先に倒れてしまった方も何人も見てきました。
ご家族の自分の時間や休息の時間を作ることは、
今後、長期にわたり自宅療養を続けようと考えている場合、非常に大切になります。
患者さんにとっても、リハビリなどができて、いい機会になると話している方もいました。
患者さんにとっても、ご家族にとっても、無理しすぎず在宅生活を続けていくために、ぜひ活用してみてください🎶
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