以前、「小規模多機能型居宅介護」についてご紹介しました
うめも、退院調整の際に小規模多機能型居宅介護に相談する機会が多く、大変お世話になっているのですが…
MSWではなく退院調整看護師が担当するような患者様の状態は
- 褥瘡や傷の処置が毎日必要
- 昼夜ともに喀痰吸引が必要
- 中心静脈栄養や末梢点滴などの点滴類が継続して必要
- 胃瘻やストーマ管理など医療処置が家族だけでは対応が難しい
- 看取り目的での退院
- ガン末期のため麻薬管理等が必要
…etc.
といったような、医療依存度が高い方が多い傾向があります
このように医療依存度が高い場合、例えば下記のような理由で小規模多機能型居宅介護では対応が難しくなることがあります
- 看護師が常駐していないため、サービス利用時にほとんど医療処置が行えない(看護師は平日の日中のみの場所が多い印象)
- ヘルパーによる通い・宿泊・訪問のサービスで、介護保険支給限度基準額の大半を利用してしまうため、別途介護保険で訪問看護を入れたくても単位が足りない
…etc.
かといって、医療保険による訪問看護利用には様々な条件が付くため
前述のようないろんな医療処置がありつつも介護保険を利用して訪問看護のサービスも調整しなければいけない場合
居宅介護支援事業所のケアマネが調整する介護サービスだけではサービスが不足することも多々あります
そんなときに利用したいのが「看護小規模多機能型居宅介護」です
医療依存度が高く、介護度も高いため看護も介護もいろんなサービスをしっかり受けたい方に嬉しいこの介護サービス!
ではどのようなものかご紹介していきます♪
看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護とは?
看護小規模多機能居宅介護とは
「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたサービスで
・施設への「通い(デイサービス)」
・短期間の「宿泊(ショートステイ)」
・利用者の自宅にヘルパーが訪問する「訪問介護」
・利用者の自宅に看護師が訪問する「訪問看護」
の4つを組み合わせ、医療依存度の高い方や、在宅での看取りの支援、難病の方などが住み慣れた街で安心して自宅療養ができるように支援するための介護サービスです
通い・宿泊・訪問介護・訪問看護の4つのサービスを1つの事業所が提供するのが「看護小規模多機能型居宅介護」の特徴です
サービス提供エリア
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護と同じく「地域密着型サービス」に位置付けられています
「地域密着型サービス」ではお住まいの住所と事業所の住所が同じ市区町村内にナイト利用ができません
そのため、住所地に利用できる看護小規模多機能型居宅介護があるかは確認が必要です

同じ市区町村内にあっても、事業所から自宅が遠いと
「訪問のサービスがあまり頻回に利用できない」
などの制限が出ることがあるようです

事業所自体の数もそこまで多くないため
どこの看護小規模多機能型居宅介護が自分たちは利用できそうか
地域包括支援センターのスタッフや病院のMSW・退院調整看護師にしっかり確認が必要です
対象者
小規模多機能型居宅介護は、要支援・要介護認定を受けている方でしたら利用可能でしたが
看護小規模多機能型居宅介護の場合は、「要介護1以上」の方のみが利用可能です

介護保険の認定結果によっては利用できないことがあるため
新規申請をしている方の新規利用相談の場合は注意が必要ですね!
利用料金
介護度 | 同一建物居住者以外 | 同一建物居住者 |
要介護1 | 12,341円 | 11,119円 |
要介護2 | 17,268円 | 15,558円 |
要介護3 | 24,274円 | 21,871円 |
要介護4 | 27,531円 | 24,805円 |
要介護5 | 31,141円 | 28,058円 |
※1単位10円、1割負担で計算
※利用者負担額は、お住まいの地域がどの地域区分(1級地~7級地、その他)に属しているかによって異なるため、金額の詳細は利用したい事業所にご確認ください
※2割負担、3割負担の方は上記金額が2倍、3倍になります
※このほか食費や宿泊費、各種加算料金が追加されます

「訪問看護」を利用できる分
小規模多機能型居宅介護よりも、月額費用が高いね
サービス利用回数の制限は?
小規模多機能型居宅介護と同様に、基本的に24時間365日利用可能で、利用回数に制限はありません
ですが、各定員の決まりは看護小規模多機能型居宅介護にもあります
本体事業所 | サテライト型事業所 | |
1事業所あたりの登録人数 | 29人以下 | 18人以下 |
通いサービス | 登録人数の1/2~15人まで ※登録定員が25人以上の場合 定員26人:利用16人 定員27人:利用16人 定員28人:利用17人 定員29人:利用18人 | 登録定員の1/2~12人まで |
宿泊サービス | 通いサービス定員の1/3~9人まで | 通いサービス定員の1/3~6人まで |
このため、利用定員の都合上、実際に利用できる回数やタイミング等に制限がでることがあります

看護小規模多機能型居宅介護の事業所の方に、ちらっと聞いたところ
「ほぼほぼ自宅、ときどき自宅」みたいな利用方法の方も意外と多いみたいですよ

看護小規模多機能型居宅介護は介護度・医療依存度ともに高い方が利用することが多いです
介護負担や介護力を踏まえて、なるべく自宅にいる時間を短くしたい方も多いようですね

実際、どの程度自宅で対応が可能なのか
どの程度通いや宿泊で対応してほしいのか
それによってどの程度費用が発生するのか
利用開始前にしっかり事業所に確認・相談していきましょう
メリット
看護師による医療処置も対応している
看護小規模多機能型居宅介護では、月額定額で、通い・宿泊・訪問介護だけではなく、訪問看護も利用ができます
癌末期や難病の方、吸引等の医療処置が必要な方など、医療依存度が高い方でも住み慣れた家で生活を続けられるように支援してもらえるというのが大きなメリットです
同一事業所のスタッフから支援を受けられる
通い・泊り・訪問介護・訪問看護のどのサービスを利用しても、同一事業所のスタッフが対応してくれます
顔なじみで自宅環境やご本人の状態も把握しているスタッフから支援を受けられるため、よりきめ細やかに対応してもらうことができます
医療処置が多く必要な方ほど、ご本人・ご家族の負担も大きく、心配事・不安なことも多くなりやすいため、慣れ親しんだスタッフに支援してもらえるのは安心感がありますね

同じケアをしてもらうなら
少しでも自分のことを知っていて、慣れている方の方が安心という方も多いですよね

高齢の方など
環境・人の変化が苦手な方には嬉しいですね
サービス利用の変更・調整の自由度が高い
看護小規模多機能型居宅介護は、サービス利用の回数制限はありません(利用定員はあります)
そのため、
「本人の様子がなんだかいつもと違い、心配なので看護師に様子を見に来てほしい」
「介護者の体調不良のため、急遽宿泊サービスを利用したい」
などご本人やご家族のご都合に合わせて、通い・宿泊・訪問介護・訪問看護のサービスを利用しやすいというメリットがあります
どれだけサービスを利用しても介護サービス費の追加料金が発生しないため、費用面の心配をあまりせずにサービス利用相談ができるのも安心です(食費や宿泊費は利用した分だけ追加でかかるため注意が必要です)
デメリット
同一事業所からサービスを受けなければいけない
初めてサービス調整をする方の場合は問題ありませんが
もともと担当ケアマネや利用していたデイサービス等があった方は注意が必要です
看護小規模多機能型居宅介護を利用する場合、ケアマネージャーはもちろん、デイサービス、ヘルパー、訪問看護をすべて看護小規模多機能型居宅介護の事業所に変更しなければいけなくなります
そのため、もともと利用していた各事業所とは契約終了にしなければいけなくなるので

〇〇ケアマネージャーにとっても良くしてもらってきたから
担当を変えてほしくない!!
みたいな方は、利用前に看護小規模多機能型居宅介護に変更した方がいいのか、もともとのケアマネージャーと改めてサービス調整を相談した方がいいのか、家族やもともとのケアマネージャーとよく相談して決めていきましょう
もし、医療依存度が高い中、通常のケアマネージャーで介護サービスを調整することになった場合
もしデイサービスの利用も希望される場合は、「療養型通所介護」の利用も検討してみてくださいね
最後に
小規模多機能型居宅介護に、訪問看護を加えた「看護小規模多機能型居宅介護」
これから、国が在宅療養を推進していく中で、医療依存度の高い自宅療養患者が増えていくでしょう
その中で、定額で制限なくサービスを利用できるという大きなメリットがあり、重要性が増していきそうですね!
ぜひ、看護小規模多機能型居宅介護について知り、今後の退院調整に活用していきましょう!
「看護小規模多機能型居宅介護」と「小規模多機能型居宅介護」の違いも記事にまとめてみたので、見てみてくださいね♪
ではまた♪
参考文献
厚生労働省 かんたき虎の巻
厚生労働省 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について
日本看護協会 看多機を知っていますか?
日本看護協会 看護小規模多機能居宅介護
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