先日、医療処置が多い状態で在宅療養するとき、レスパイトを活用することを提案しました。
とはいえ、1-3か月ごとしか使えないのなら、その間はどうすればいいんだ!
となると思うんです。
医療処置が多いと、通常のデイサービスは使えないですし。
そんな時に利用したいのが「療養型通所介護」!
全国に89か所(H31年度時点、厚労省発表)しか数がない、貴重なデイサービスです。
私も、現在の病院にくるまで、このデイサービスの存在を知りませんでした。
じゃあどんな施設なのか?ご紹介していきます。
療養通所介護とは?
療養通所介護って何?
介護保険制度で利用できる居宅サービスの1つである、通所サービスです。
療養通所介護の目的は?
利用者が、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるように、
・自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消
・心身機能の維持回復
・家族の介護の負担軽減
などを目的にしています。
対象者は?
介護度
要介護1~5の認定を受けた方
エリア
域密着型サービスのため、
原則としてお住まいの市区町村以外の施設・事業所のサービスは利用ができません
対象となる疾病や病状
常に看護師による観察を必要とする、以下のような疾病や病状の方が対象となります。
・難病
・認知症
・脳血管疾患後遺症等の重度要介護者
・がん末期
・点滴や吸引などの医療処置が必要な方
提供するサービス内容は?
利用者が療養通所介護の施設に通って利用します。
施設では、点滴や吸引など医療的なケア、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。
施設は、利用者の自宅から施設までの送迎もしてくれます。
また、療養通所介護は、医師や訪問看護ステーションと連携して、サービスが提供されます。
訪問看護ステーションと併設している場所も多いため、普段利用している訪問看護ステーションの看護師が、療養型通所介護の施設でも対応してもらえるように相談も可能です。

私がよく連携している、療養型通所介護の施設は、
訪問診療と訪問看護どちらも同じ法人内にあるから、
情報を随時共有しながら多職種で在宅療養を支援してくれます!
なので、医療依存度が高い人ほど、そこに相談することが多いです♪
料金は?
12,691円/月 (R3年~)
⇒このほかに、そのほか加算が入るのと、実費でおむつ代などが加算されます。
※1割自己負担、1単位=10円で計算した場合
※入浴介助を行わない場合は、所定単位数の95/100、 6時間以上8時間未満/回 サービス提供量が過少(月4回以下)の場合は、70/100を算定
※以前まであった、個別送迎体制強化加算及び入浴介助体制強化加算は廃止
定員は?
18名以下(H30年の診療報酬改定より)
メリットやデメリットは?
メリット
利用者1.5人に対して、常時1名以上のスタッフ(看護職員 or 介護職員)が配置されているため、手厚い看護・介護が受けられます。
そのため、利用者1人1人に目が届きやすいです。
また、医療依存度が高い方や、寝たきりの方は、外に出て他者と触れ合う機会が少なくなりがちです。
療養型通所介護を利用することで、ほかの利用者やスタッフと接する機会になり、また移動は車とはいえ定期的にその空気を吸い、外出する機会にもなります。
何かあったとしても、すぐそばに医療者が常にいる環境のため、迅速に対応してもらえることも安心です。
自宅でも普段対応してくれている、訪問診療医や訪問看護師が対応してくれるというのもメリットです。
その人の病状や身体的特徴、ケアの希望など知り尽くしたスタッフが対応してくれますし、
訪問診療や訪問看護の時の情報も共有しながら対応してくれるため、
ケアを行う医療者みんなが、最新の情報を共有して対応できるということも安心できます。
点滴や吸引など、医療依存度が高い患者さんを看ている家族は、昼夜ともに患者さん中心の生活となり、気も張って生活することになるため、介護負担は大きくなります。
ご家族にとっては、療養型通所介護を利用中は、自分のための外出や家事などをゆっくり行えます。
ご家族の介護休暇という意味でも、療養型通所介護の利用はメリットとなります。
デメリット
全国で89か所しかないため、お住まいの地域に事業所や施設がない可能性があります。
地域密着型サービスのため、お住まいの地域に事業所がない場合、利用を希望していても利用できない可能性があります。
毎月定額制で、制度上では明確な利用回数の上限は設けられていませんが、
(月4回以下となる場合は月額費用が減額されることが定められています)
利用可能人数が18名以下であることや、利用ニーズが高いこと、施設の特徴などから、
各施設で「月8回までしか利用できない」等の上限が決められていることがあります。
その場合、週に1-2回しか利用できなくなるため、注意が必要です。
1日の流れの例
9:00 自宅に施設の送迎車がお迎えに来る
9:30 施設に到着し、休息をとる
10:00 看護師の健康チェックを受ける
10:30 介護職員の介護で入浴をする
11:30 休息をしたり、レクリエーションに参加したり、リハビリを行ったり
必要に応じて、点滴交換や、ルート交換、傷の処置をすることも。
12:00 昼食 (経管栄養介助、食事介助など)
13:00 休息をしたり、レクリエーションに参加したり、リハビリを行ったり
15:30 施設送迎車で自宅に帰宅!
Q&A
療養通所介護を含めて、1週間のスケジュールはどうなるの?
介護保険の認定結果にもよるので、あくまで一例ですが、1週間のうちで、
・療養型通所介護 : 週2回
・訪問看護 : 週3回
・ヘルパー : 毎日
という形で、毎日何らかの介護保険サービスを利用できるように調整したことがあります。
中心静脈栄養や末梢点滴を使用しているけど、対応してもらえるの?
中心静脈栄養を使用している場合は、CVポートを造設してほしいといわれることがあります。
また、末梢点滴でも対応してくれたこともありました。
各事業所の規定や、事業所内のマンパワー、利用者層にもよると思いますので、一度申し込み予定の施設に確認してみるといいかもしれません。
最後に
在宅生活を支えるために、介護保険にはいろいろなサービスがあります。
療養型通所介護のように、医療処置が多い方に向けたサービスもあると知っておくと、
退院調整のときにご家族や患者さんに提案できる内容が増えますよ!
そういうサービスがあるんだ!と知るきっかけになっていればうれしいです。
ちなみに、医療依存度が高い方の在宅療養を支援するために、「看護小規模多機能型居宅介護」という定額制で通い・宿泊・訪問介護・訪問看護が利用できるサービスもあります!
こちらもぜひ参考にしてみてくださいね♪
では!
参考文献
厚生労働省の交付している資料を参考に記載しています
・介護給付費分科会 02_療養通所介護 02_療養通所介護(会議後修正) (mhlw.go.jp)
・介護給付費分科会 3年度介護報酬改定の主な事項について Microsoft PowerPoint – 01_資料1_令和3年度介護報酬改定の主な事項(会議後修正3) (mhlw.go.jp)
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